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スポーツ上達のメンタル、7つの要素 アバンド契約選手(トライアスリート)竹谷賢二

③センサー、内なる感覚を高める(感度向上)

自分を構成する様々な要素、あるいは自分の置かれている状況を把握する“自己認識”をし、細かく分解精査しつつも全体を機能統合させる“全体調和”を図るには、自らの感覚を高める“感度向上”は避けられません。
感覚は視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、平衡感覚など様々ですが、”感じる”というプロセスはどれも同じ過程を通ります。スポーツに必要な運動感覚も同じことです。

目や耳、舌、鼻の他に皮膚、体の組織のあらゆるところに存在する感覚器官が外部から受けた刺激を電気信号に変換。神経を通り脳へ伝達、記憶された経験、知識と結びつけ認知をして、脳内にイメージが湧き上がることが”感じる”という過程になります。
感覚器官と神経はセンサーというハードウエアだとすると、受信した信号を情報処理する脳もCPUであり記憶メディアでもありハードウエア。信号をデータベースと照らし合せ差異を認めて認知する情報処理はソフトウエアとなります。

これらの一連の過程を頻繁にすることが感度を高めること。人は機械の部品のように感覚器官を高性能センサーに取り替えるということは不可能ですから、脳の情報処理ソフトウエアをどんどん書き換えてバージョンアップしていく必要があります。

ここで一つ体感してみましょう。
視覚センサーは同じでも見え方を変えることが、脳の認識の仕方、プログラムを変えるだけで出来ます。
1、両腕を伸ばして親指を眼前で揃えてくっつける
2、親指に両目のピントを合わせる(視野が狭まる)
3、ピントを合わせたまま肩幅まで腕を広げる(視野が広がる)
4、さらに同時に見える範囲いっぱいまで腕を広げる
こうすると視野の狭い広いはセンサーの違いではなく、認識と処理の仕方の違いだということがわかるはずです。

情報処理においては味覚や聴覚も運動感覚と同じ能力を使っているとも言えます。
舌で得た刺激を信号として受け取り甘味、酸味、塩味、苦味、うま味分の成分に分類し、これはアノ甘みに近いな、酸っぱさはアレ、塩っぱさは控えめなどと過去の経験と知識を結びつけていくことで味わいが湧き上がってきます。

ファーストフードのような単調で刺激の強すぎる味ばかりを経験していると成分の細かな差を記憶していないので、いざ繊細な味わいの料理を食べてもその良さがわからない、美味しく感じられないことがあります。脳に信号は伝わっているものの照らし合わせるデータベースを持っていない、その信号は処理されないで初めから無かったものとされてしまいます。このように感度の差は記憶された経験の差と等しく、ワインのソムリエのように味の違いのわかる人はそれだけ多くの経験を積んでいるはずです。

では味覚を高めるにはどうすれば良いでしょうか。同じものばかり食べ続けないで色々なものを広く味わう、特定の成分ごとに分けて細かく味わう、大勢でおしゃべりとともに食を楽しむのではなく1人静かに咀嚼して丁寧に深く味わう等あります。
同様に運動感覚向上にもどんな経験をして何を記憶しているのかが感度の差となり、いろいろ広く、分けて細かく、丁寧に深くという経験を何度も何度も記憶させ、いつでも参照できるように整理しておくことがカギとなります。その経験をさせるのがスポーツ上達の練習なのです。

練習方法としては様々なメニューを取り入れるということでより広く、ドリルのように動作を分解してより細かく、何度も何度も1人で集中して繰り返すことでより深く感度を高めていくことが出来ます。

意識の置きどころを変えることでも広く細かく深くすることができるはずです。例えばスポーツバイクでいえばペダリングをしている瞬間のどこに意識を置くか?
ペダルが上を通過する時なのか下の時なのか、その時に足首なのか、膝なのか、股関節なのか、ペダルの硬さなのか滑らかさなのか、ペダルの動きだけなのか、バイクの進み具合もなのか、腰の角度は倒れすぎていないか、起きすぎていないか、タイヤのグリップは保たれているか、まっすぐ直進しているか、などなど枚挙にいとまがありません。
意識の置きどころを常に変えていき、新しく感じられることを探すことも練習の大事な目的の一つなのです。

感覚が高まってくると今まではわからなかった差異も見極められるようになります。多様な経験を変化させ、繰り返しては処理速度を上げていき、違いの分かるアスリートを目指していきましょう!