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スポーツ上達のメンタル、7つの要素 アバンド契約選手(トライアスリート)竹谷賢二

②遠近両用で木を見て森も見る(全体把握その2)

スポーツ上達のメンタル、前回は全ては表裏一体として”自己認識能力”を高めていくことを第一として挙げました。7つの要素の二つ目として木を見て森を見ず、ならぬ、遠近両用で木を見て森も見るを紹介します。

  • 自己と外界との関係
  • 体の部分と全体の働き
  • データも点と面で読み取る

前回の自己認識能力を高めようとした自己とは木の存在、自己をとりまく外界は森と言えます。格闘技であれば自己だけでなく対戦相手やその間合いを把握しなければなりませんし、球技ではボールの動きだけでなくフィールドで動き回る両チームのプレーヤー全体とオープンスペースという空間だったり、ランニングやスイムなどのエンデュランススポーツでも自分の体の動きや運動強度だけでなく地面や水にどう働きかけていて、その作用した力の反作用を受けて進んでいることまで感じ取り、認識しなければなりません。

様々なスポーツにおいてトップ選手は皆個性的なフォームや動きをしていることが多々見られますが、ボールを蹴る、水を捉える、地面を押す、この時に力をかける方向で進む方向が決まりますので、ガニ股であろうが内股であろうが捻ろうが傾いていようが、力の方向性は間違っていないはず。絶体的に充たさなければならない条件、物理法則を必ず充たしていると言えます。
自分の動きがどうこう、体がどうこうも大切ですが、スポーツパフォーマンスにおいては自分の体の外側にあるものにいかに働きかけるか、影響するかこそが最重要です。

自分だけを見ないで自分を取り巻く周りの全ての存在に気を配ることです。相手、ボール、水、地面、空気、機材、空間、時間、重力、風、斜度、気温、湿度、ありとあらゆるものが影響して、スポーツパフォーマンスを決定づけるので、自分という木を見つつ、自分という木を含む外界という森も見ていきましょう。

とは言え自分の体の動きをないがしろにしても良いとは言っていません。例えばランニングで地面にかかる力の方向性が適切だと速く進めるかもしれませんが、筋腱が過度な緊張をしていたり関節に反発の力が必要以上に返ってきたら故障を引き起こしてしまいます。外界への働きかけ=パフォーマンスを発揮する時に、体にどう負担がかかってしまっているかという部位と瞬間を意識しなければなりません。 昨今では〇〇筋を使うという表現をよく聞きますが、体は部分的に一部分だけで働いているわけではありません。筋肉は主働筋と拮抗筋が収縮と弛緩を繰り返し協調しあっていますし、上下や左右に繋がる筋肉は協働筋として連携していますから、部分的な筋緊張を良しとしないで体全体の連動として考えていきたいところです。
例えば大腿四頭筋の緊張はどこからきているのかを考えるに、先ずは対象に適切に働きかけているのかを優先確認した上で、内側か外側か? 膝が伸びる時なのか曲がる時なのか? 緊張は長いか瞬間的か? ハムは緩んでいるのか緊張しているのか? ふくらはぎは緩んでいるのか緊張しているのか? と広げていかなければなりません。

トレーニングデータという数値も一つを点で捉えるだけでなく、いくつかの数値を組み合わせて面で読み取ります。例えばスポーツバイクのメーターから得られるデータでは、スピード、ケイデンス(脚の回転数)、距離、時間、心拍数、パワー、ペダリング効率など様々な数値を得ることが出来ます。ケイデンスを高める練習をする時にはケイデンスという部分だけ高く出来ていればOKですが、平均スピードを速めようとした時にはケイデンスを高めると心拍数も上昇してしまい時間と共に疲労していきます。結果的にケイデンスが低くなりスピードも遅くなっていくようでは本末転倒なので、体の負担との兼ね合いで最適なケイデンスを選択していくようにします。
同様にパワーでも高ケイデンスと低ケイデンスでどちらがより心拍数が少なく出力できるか、その結果持続しやすいか、と言ったように複数の数値を照らし合わせて最終的には主観も交えてこれで良いと思える組み合わせを決めます。自分にとって最適なバランスを見つけます。

このように木を見て森も見る、細かく分解して一つ一つを精査しつつも全体を再構成し機能を統合させるという、全体調和を目指す視点がスポーツ上達には欠かせないのです。